インタビューシリーズ『仕事人が語る』第五弾

ブーランジュリー パリゴオーナー 安倍竜三さん

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今回はフランス仕込みのパン職人、Boulangerie Parigot(ブーランジュリー パリゴ)オーナー 安倍竜三さんにインタビューいたしました。

15歳でパン職人の道を歩みはじめ、多数の有名シェフを輩出した製パン塾でパン作りを学び、その後芦屋の名店で厳しい修行を積んだ安倍さん。その後店舗を移り18歳という若さで製造責任者に就任。
21歳でフランスへ渡り、第一回クロワッサンコンクールで入賞し、職人部門を獲得。帰国後もパンの世界大会『モンディアル・デュ・パン』に日本代表として出場、2019年には同大会にて日本代表を総合優勝へと導くなど世界で活躍されています。
現在は常連のお客さんで行列ができるほど人気のお店で、安倍さんの創り上げるパンは多くの人々を笑顔にしています。

そんな安倍さんに単身フランスへ渡られた際のことや、帰国後の取り組み、男性のスキンケアなどについてお話を伺いました。

2020年11月某日、弊社のオフィスで談笑を交えつつインタビューが始まりました。

Q(PHYTOGRAMインタビュアー):現在はどのようなお仕事をされていますか。
A(安倍さん ):百貨店やJR東日本の商業施設とコラボしたりと、外でやっている仕事が多いです。トワイライトエクスプレスの食堂車でパンを提供していたこともありました。

Q:日本でパン職人になるにはどのようにすればいいんでしょうか。
A:実は日本にはパン専門の学校というのがあまり無いのが現状です。特に資格もありません。あるとすれば専門学校の食品衛生士の資格証ですね。
パン職人という職業に対する意識も環境によって差があって、個人でパン屋さんをやられる方もいます。そういう状況なので最近は、日本全国のパン屋さんの組合を立ち上げるという取り組みも行っています。
パン職人の世界は修業期間や労働時間が長く、給料も安いのが現状です。ですので、なかなかこの道に進む若い子がいないんです。海外のように一定の仕事の質や、時間内に収めるスキルといった基準が日本にはないので、そういった資格制度や勤務体制などを業界できちんと基準を作り上げるというのが課題ですね。

Q:そんな厳しいパン職人への道に安倍さんが進むのに、どのようなきっかけがありましたか。
A:昔はヤンチャしてて、たまたまパンの世界に入りましたね。就職する前に製パン塾(※1)でパン作りを学び、15歳で芦屋にあるビゴというパン屋さん(※2)で働き始めました。
3年間働いた後、就職前に学んだ学校の先生がパン屋さんをオープンされるということでそのお店(※3)に移籍しました。次に「青い麦」というお店に移り、18歳の時に製造責任者に抜擢されたことがきっかけで仕事が楽しいと感じるようになりました。就任して1年後くらいに、売上などいろいろなことを求められるようになったので、買ってもらえるためのアイデアや、美味しいものを作るにはどうしたらいいかという勉強を一番していた時期です。

※1 多数の有名シェフを輩出した「ムッシュf製パン技術訓練塾」。製パン理論から実技までパンに関わるすべてを学んだ。
※2 本場のフランスパンを日本に広げたとされる創業者「フィリップ・ビゴ」氏による芦屋の名店「ビゴの店」。
※3 ムッシュfこと福盛幸一氏の店「ブレッドファクトリー」。

Q:単身でフランスに渡られたきっかけや、フランスでの修行はどうでしたか。
A:若い時に製造責任者になったので、言ってしまえば調子に乗っていた僕をみて、師匠がこのままではダメになるだろうと、本場フランスを見てこいと言われたのがきっかけです。
はじめは旅行に行くぐらいの気持ちでしたが、衝撃を受けました。パンの仕事もパンの作り方も全く違いました。
パンにはパンの表情というのがあって、日本人は器用なのできれいなパン、顔がいいパンを作ることができるのですが、フランスは美味しいものを基準に考えてきれいに見せようとしていない、美味しいものを作るという結果その表情にしかならないという作り方なんです。
その当時は日本のパン職人の感覚はきれいなパンを作るというのが大前提で、美味しさというところまであまり見えていませんでした。

Q:モンディアル・デュ・パン(※4)に出場したのにはどういった経緯がありましたか。
A:フランスの修行の最後のほうはアシスタントをさせてもらっていました。その職人さんというのがMOFというフランス国家最優秀職人の方で、その方が沢山のコンテストをやってこられていて、いろんな賞を受賞されていました。その方と会って一度チャレンジしてみようということになりました。

※4 2年1回、日常パン・健康と栄養パン・ヴィエノワズリー・サンドイッチ・飾りパンなどの総合力を競う世界最高峰の国際製パンコンクール。25歳以上のシェフと22歳以下の若手パン職人がチームになって取り組む競技で、若手の育成を目的としている。
安倍さんは2011・2013年と二度にわたって日本代表を務めています。
※写真は2020年開催の第8回モンディアル・デュ・パン日本代表最終選考会。協会の理事として積極的に活動し、2019年の世界大会では日本が初めて総合優勝した際はコーチとして率いました。

Q:コンテストやお店で出されるパンのアイデアはどのように生まれますか。
A:お店で出すパンは食べるシーンを考えます。あとは価格ですね。やっぱりパンは普段使いなので、普段使いにしてもらえるパンは価格面もこのぐらいというのがあります。このぐらいの価格でなおかつ頻繁に買ってもらえそうな味にするというのを大前提に考えています。形は後で、実際作ってみてその生地が許容範囲になるきれいさをつくります。
コンテストのパンは真逆で、職人の技量を見るので一番は見た目から入ります。
この形を作れるか、作れないか、そういうとこを見ていく大会なので、形からアイデアをもらいます。例えば時計や骨とう品、美術品などからインスピレーションをもらって形に作っていきます。
あとは建物とかもあるので、日ごろから写真をよく撮ります。今はコンテストに出ていませんが、服の飾りやモチーフなどを写真に撮ってコンテストの飾りになったりということもあります。

Q:パン職人を目指す若手にメッセージがあればお願いします。
A:とにかく頑張るしかないと思います。ただ、若いころは特に終着点が見えないですよね。
最近の若い子は僕らの時よりも情報が多く入ってくる分、よく勉強してきているし絶対頭がいいと思います。僕らの時より効率よく仕事に取り組めているとは思いますが、無駄なことが後で生きたり、遠回りして苦労したことが最終的に身になったりすることがあると思います。そういう経験が最近の若い人はなかなかできにくいのかなというのがありますね。
結果の情報でこれは〇、これは×というのがある程度多数決で出ていて、少数意見のほうはあまり見なかったり、やらなかったりしますよね。僕はそこまで考えながらやらなくても、がむしゃらにやっていれば誰かがその人にチャンスをくれて何かのきっかけで飛躍する時があると思います。

Q:今のお店は一言で表すとどんなお店でしょうか。 また自分のお店をはじめられたきっかけはなんでしょうか。
A:地元の人に向けた、普段使いのお店です。
自分のお店を始めたきっかけですが、以前働いていたお店の責任者をやっていた時に休みが全く無かったんです。出店を重ねて、人手不足の中で仕事ができる人間が休むことができない状況になってしまっていました。若い時に仕事を果敢にやるという時期があってもいいかもしれませんが、やっぱり仕事ができてちゃんとした報酬を貰えて家庭があるという人に対しては、そういうことは求めるべきはないと思っているので。そこで自分のお店を始めました。

Q:新型コロナウイルスの影響はありましたか。
A:対策するのは大変でしたが、幸いなことにあまり影響はなかったです。
ただうちの卸先のレストランがつぶれたという事はありました。そう思うと浮き沈みのない職種としては良かったかなと思います。

Q:安倍さんの作るパンはどんなところにこだわっていますか。
A:やはり素材にこだわっていますね。小麦粉でいうとうちは必ずフランスパンにはフランスの小麦粉を使います。フランスから輸入した小麦粉は振るいにかけるなど、とても手間暇がかかるのですが、味の出方が全く違います。

日本人が普段お米を食べる感覚でフランス人はパンを食べるんですが、当時は炊き立てのご飯を食べるような、でんぷんの甘味を口の中で感じられるパンというところまで求めて考えている人はいなかったんです。でもフランスで食べるパンはそういう考えから作っていて、その作り方を教えてもらって技術を身に着けるために、元々3ヶ月間の滞在予定が、5年滞在することになった理由ですね。
小麦のでんぷんの甘さなどをお客さんが食べて感じてもらえるような、主食になるパンがお客さんに買っていただきたいパンですね。お店の売上の半分がそういったパンなので、浸透してきているかなというところです。

ご自身の修行やパン作りのこだわり、そして若い層へのメッセージなどについて語っていただきました。
ここからは男性のスキンケアについてお話を伺いました。

Q:スキンケアについてお聞きします。普段肌トラブルなどはありますか?またフィトグラム製品を使った感想などありますでしょうか。
A:肌の乾燥などはよくありますね。パンを作っていると小麦粉が舞っているので、油と混じってカサカサになったりして、今はマスクもしているので小麦粉とマスクで肌荒れするスタッフも多くいます。
僕自身は普段スキンケア用品を使っていませんでしたが、実際(フィトグラム フェイシャルフォームで)洗ってみたらとてもすっきりして、美容のことは詳しくわからないですが、顔にハリが出た感じがしました。

Q:修行時代にスキンケアについて現地で触れることはありましたか。
A:フランスに行って感じたのはフランスの男性はおしゃれだと思いました。香水をつける方がたくさんいますし。ただし仕事中は基本的にNGですね。出かけるときは香水をつけたり、顔にローションを塗ったりしてますよね。

Q:メディアに出られることも多いかと思いますが、どのようなことをされていますか。
A:基本的にメディアに出るときはコックコートを着て帽子を被るので、特に何もしてないですね。あとは汗をかいたときに垂れたりするのは避けたいという理由もあります。
Q:ありがとうございました。確かに汗をかいて流れてしまうのは避けたいですね。メディア用に汗崩れしないものがあればいいですよね。

そんな安倍さんにもおすすめのフィトグラムのBBクリームが登場しました。
肌のテカリやクマを自然にカバーし、べた付かずサラサラに仕上がります。

フィトグラム BBクリーム
全3色 2,420円(税込)

若くしてパン職人の道を歩み、フランスでの修行を経てパン作りへの考え方が変わったという安倍さん。美味しいパンを作り続けるだけでなく、パン業界の基盤づくりにも取り組み未来に目を向けている安倍さんを、PHYTOGRAMはこれからも応援していきます。

インタビューシリーズ『仕事人<しごとびと>が語る』
第5回は、Boulangerie Parigot(ブーランジェリー パリゴ)オーナー 安倍竜三さんにお聞きしました。
次回の更新をお楽しみに。

Boulangerie Parigot
所在地:〒543-0001 大阪府大阪市天王寺区上本町9-3-4
電話番号:06-6774-5087
営業時間:7:30~20:00
定休日:月曜日、第1・3火曜日

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